代表挨拶
誰もが 幸せを享受できる 共生社会を 目指して
NPO法人マザーハウス理事長
五十嵐 弘志
当法人は、2012年4月8日に民間非営利団体マザーハウスとして、
元受刑者の当事者である私が、元受刑者・出所者等を支援するために設立しました。
2012年当時の私は、出所後間もないためにNPO法人の役員となることの欠格事由がありましたが、2014年5月に晴れてNPO化を果たしました。
マザーハウスは、主に少年院・刑務所にいる人たちの更生改善・社会復帰支援をしています。
それは、私自身、刑務所で受刑生活を送っていた中で24時間、ボランティアで高齢者・障がい者・認知症等の受刑者の介護をしてきた経験に基づきます。
多くの受刑者が孤独であり、自分と向き合うことができず、自暴自棄になっている方が多いです。
そして、多くの受刑者が心に傷を持っており、人の愛を知りません。
その中で、社会とのつながりと人との交わりがとても重要であると感じました。
そして、当事者がお互いに共に生きていくことが更生するのに役立つと思ったのです。
なぜなら、当事者だから、同じ体験をしたことがある人だから、お互いが見えてくることがあります。
当事者が当事者をサポートし、それを社会の人が支援する組織を作りたいと思い、このマザーハウスを立ち上げました。
私は受刑中、文通者との手紙を通して自分が愛されており、大事にされており、大切にされていることを感じることができました。
文通を通して、犯罪被害者の母親とも出逢い、被害者について、償いについて、真剣に考えることができました。
自分と出逢い、悔い改めるには人との交わりと愛が必要です。更生は、自分一人では難しいと思います。
なぜなら、更生は社会の中で人との交わりを通してできることだからです。
今、マザーハウスでは受刑者との文通プロジェクトを実施し、全国の約800名の受刑者と約250名の文通ボランティアが交流しています。
児童養護施設にいる子どもたちにお願いをして、手作りのクリスマスカードを作っていただき、交流している受刑者にお送りすることも毎年行なっています。
多くの受刑者から慰められたとのお返事が来ました。
また、私自身、社会復帰してから結婚をし、3人の子どもが生まれました。
今では、その子どもたちの成長が、多くの文通している受刑者の希望となっています。
ある高齢の受刑者は、工場に行くとき「行ってくるよ」と私の息子の写真に声を掛け、部屋に帰ってきたら「ただいま」と声をかけているそうです。
それが自分の励みになるとの返事がありました。
マザーハウスと文通していた人たちが社会復帰してきた時には、住宅支援・就労支援等のサポートをしています。
また、大学や教会等での講演会で様々な人達と交流をし、その中にはパートナーとの出逢いがあり、結婚へと導かれている人もいます。
そして、出所後のジョブトレーニングとして行なっているマリアコーヒーの試飲販売を通して、
マザーハウスの支援者と触れ合い、支援者に「ありがとう」と言われ、感動し涙する者もいます。
「自分は『ありがとう』と言われるような人間ではない。
散々、人を傷付けてきたどうしようもない者なのに『ありがとう』と言われ、こんな俺のためにコーヒーを買って応援してくださる。
感謝で一杯です」と、話す元受刑者もいます。
受刑中の文通で生きた愛に触れ、自分と出逢い、真剣に悔い改めた人は必ず更生できます。
なぜなら、自分が愛されていることを実感でき、体験しているから人を大切に、大事にできるからです。
社会とのつながり、人とのつながりにより、生きた愛と触れ合うことができるから変われると私は思います。
マザーハウスは今後とも文通を通して受刑者たちと触れ合い、
心と心の交流を通して生きた愛に触れていただき、
社会復帰してからも様々なサポートをし、共に今を生きていきたいと思っています。
人生は出逢いで決まります。
受刑者たちも社会の人たちとの文通の出逢いによって更生改善すると思います。
受刑者の更生改善と社会復帰支援に参加してみたいと考えている方は是非、ご連絡をください。よろしくお願い致します。